これはひとつの賭け、だ。
秋也がオレを待っているかどうかということ。

待っていれば話は早い。
この馬鹿げた状況からふたり手を取って抜け出せばいい。
オレたちがそう、ふたりきりでここからおさらばする手段は
ありがたいことにまだ律儀にオレの首にぶら下がったままだ。
このいまいましいつめたい輪っかの下で絶えず擦過傷を生成するごく僅かの可能性。
狂騒に犯された闇に最初に見つけるのが秋也ならば、オレは迷わず『それ』を開いてときを待つ。

でも。
もしもだ。
メイビィ、そこに秋也がいなければ、オレは迷わず最後の選択肢を手にすることになる。
すなわち、この手で秋也を殺す。それだけのことだ。簡単だろ?

わかりきった結果をそれでもなんとかねじ曲げたいと願うのはオレのエゴだろうか。
もう少し、あとほんの少しだけでも現状に溺れて冷静さを失えば信じることもできるんだろうか。
秋也は中川の手を取るだろう。
オレを信じるあまり。オレを信じすぎるあまり。
そしてきっと言うんだ。
『信史を探さなきゃ、信史と戻らなきゃ』
ねぇ秋也、それはもう絶対的にムリな相談なんだよ。悪いけどね。
おまえが手にするのは誰かの未来じゃない。おまえ自身の運命のすべてなんだよ。
憎むべきは聡明さじゃない。絶対的な経験不足、それだけだ。

『まるで感情の見えない横顔、』
最初にオレをそう評したのは誰だったろう?
おまえらにはオレがそう見えるわけ? おかげさまでずいぶん退屈させられたよ。
そんなオレに体当たりで困らせて笑い顔をくれたひとがいる。
愛情をまだ知らないオレにジェラシーをくれたひとがいる。

 

 

 

まるでちいさな子供を見るような目がバカみたいに綺麗だったよね。
いつだって変わらずオレの声に応えるおまえのために終わらない歌を唄うよ。
ボロボロのココロを抱えてそれでも上がり続ける体温をおまえに移しに行くよ。
それが明日を破壊する悪魔の使いなのか未来を守る神なのかはまだわからないけれど。
今のところそんなことはどうだっていい。

現状を常識に変えるなよ。
現状を異常だと気付くうちに忘れた夢を取り返しにここまで来なよ。
外れた螺子が見つからないうちはまだおまえのものでいるから。
ゆっくりと変化する濁った場所で、背伸びをしたってもう限界のその瞬間まで。

さぁそろそろゲームをはじめよう。
生まれたころよりずっと綺麗になった街はおもいだすたび妙にイライラしたから。
飛んでいった帽子を追いかけて、これはきっと50階から落ちるバンジージャンプみたいなものさ。
あたりまえの風景から最後の呟きで今すぐ逃げ出せよ。

秋也、

「……男子19番、三村信史くん」

 

"stand"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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